1.SysMLとは?

SysML(Systems Modeling Language)とは、オブジェクト指向の考え方に基づき、システム全体を設計するためのモデリング言語です。システム工学における広範囲な問題を扱うために、オブジェクト指向技術の世界的標準団体であるOMG(Object Management Group)によって策定されました。
「システム」とは「複数の要素がお互いに影響しあうことで、全体として機能するまとまりや仕組み」と定義されており、その対象は非常に広範囲となります。工学分野だけを考えてみても,コンピュータ・システムはもちろんのこと、先端計測機器や工業プラント,ロボットなど、その対象は多岐にわたります。また「システム」は構成が非常に複雑となる場合が多く、開発を行うためには様々な分野のエンジニアが協力して、幅広い検討を行なっていく必要があります。
SysMLは,システム開発時に必要な各分野固有のモデルの概略を表現するとともに、それぞれのモデル間の繋がりを明確にすることを目的としています。そして,異なる分野の専門家間のコミュニケーションを促進することを目標としています。
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    2.SysMLの特徴

SysMLは、ソフトウェアの分析・設計情報を記述するためのモデリング言語UML(Unified Modeling Language)をベースとしており、大きく「構造」「振る舞い」「要求」「パラメトリック(アルゴリズム,制御)」の4種類に分類されるダイアグラムから構成されています。
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また、SysMLの仕様で定義されているのは、モデル要素の表記法と各モデル要素が表現する意味だけであり、システム開発のための方法論(開発の手順や成果物の作成方法など)は含まれていません。このため、実際の開発でSysMLを利用するためには、各工程で実際に利用するダイアグラムの種類や、その利用方法などを含めた開発方法を決める必要があります。言い換えると、現在行っている開発方法の中で、利用可能な部分から徐々にSysMLを導入するというような使い方が可能です。

    3.SysMLとUMLの関係

SysMLはUML2をベースとした仕様ですが、仕様策定時には、まずシステム工学分野の内容をモデリングするのに必要な要件(UML for SE RFP:UML for Systems Engineering Request For Proposal)の検討が行われました。そして、これらの要件を満たすための内容をUML2から取捨選択し,足りない要素を追加することで検討が行われてきました。以下は、SysMLとUML2の関係を表現した概念図です。UML2に含まれる要素とSysMLに含まれる要素をそれぞれ円で表現しています。
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SysMLはUML2の全ての要素を含んでいるわけではありません。UML2の中でもUML for SE RFPの要件に適合した部分のみ(図中のUML4SysMLの部分)を再利用しています。
また、UML2で定義されている要素をSysMLで再利用している部分(図中のUML4SysMLの部分)についても、必要に応じて定義、表現する情報の再検討が行われています。UML2のクラス図やコンポジット構造図は、SysMLではブロック定義図、内部ブロック図という名称で再利用されていますが、仕様が拡張され「Block」という要素が加わっています。